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暮らしやすい間取りとは

「暮らしやすい家」と聞いて、みなさんはどのような家を思い浮かべますか?

家事がしやすい。災害に強い。収納たっぷり。落ち着くインテリア・・・
人それぞれ様々なイメージをお持ちのことでしょう。

今回は「家事のしやすさ・子育てのしやすさ」に焦点をあて、 暮らしやすい間取りのヒントをお伝えしたいと思います。

事例として取り上げるのは、筆者の自宅。
築古のマンションを自分で設計してスケルトンリノベーションしています。
80平米超の・・・なんとワンルームです。

入居当時は夫婦2人でしたが、その後2人子どもが生まれ現在は家族4人暮らし。
設計時にはあまり意識していなかったのですが、 ふと「子育てがしやすい家だな」と思う瞬間があります。

今回のコラムは特に小さなお子さんがいる方にとって、 家探し・家づくりのヒントになればよいなと思います。

我が家の紹介

冒頭で説明したように、広いワンルームです。
もともと3LDK+納戸のファミリー向けマンションでしたが、 すべて内装を解体し、ほとんど壁のないワンルームに作り替えてしまいました。

ピンク色で塗ったお風呂場・脱衣所・トイレのみ壁で囲われています。
個室がないため、家の内部にある扉はお風呂とトイレのたった2か所のみです。

オレンジ色で塗った中ほどにあるスペースはL字型の腰壁で囲われており、カーテンで囲うことも可能です。
現在はベッドを置いて、寝室として使用しています。




このように腰壁やカーテン、床の段差等を活用し、 広いワンルームを緩やかに分け、様々な居場所を作るように工夫しています。

低い壁。透ける壁。
家のどこにいても、他の家族の気配が感じられる。
親も子も安心できる、特に子どもが小さいうちの子育てにぴったりの間取りだなと思っています。


家事動線を最短にするには

家事動線を短くすることは、家事のしやすさに直結します。
特に「水を使う家事」に日々多くの時間を割いている方は多いのではないでしょうか。

水を使う毎日の家事といえば「料理」「洗濯」
それらを行う場所は「キッチン」「洗濯機置場」「洗濯を干す場所」の3か所です。
この3か所を近くにまとめると家事動線が最短になります。

我が家の場合、この3か所はこの水色のスペースにまとまっています。

キッチンで料理しながら、煮込んでいる間に洗濯機の様子を見に行き、洗濯物を干す。
次の洗濯を回して、また料理の続きにとりかかる・・・など、行き来することが多くても距離が短いため苦になりません。

洗濯は基本的にドラム式洗濯機で乾燥まで。
シワがつきやすい衣類は、浴室に吊るし、自然乾燥や浴室乾燥機で乾かしています。
脱衣所内に収納スペースを作ってあるので、仕舞うのも簡単です。

外干し派の方は、洗濯機を置く場所と干し場の距離をなるべく短くするのがコツです。
せっかくキッチンと洗濯機が近くにあっても、乾かすためにわざわざ他のフロアへ階段を上って・・となると移動が大変ですね。
毎日のことなので、少しでも家事のストレスは減らしたいところです。

水廻りをまとめて得た子育て中の意外なメリット

子育てしてみて、これは助かった!と思うのが、キッチン・脱衣所・お風呂が一直線に並んでいるところ。

お風呂大好き!で、かなり長風呂で遊び続けるお子さんもいると思います。
ある程度は親も付き合うけど、もうそろそろ出たい・・
でも子どもはまだまだ遊び足りなさそうという経験はありませんか?>

そんな時、お風呂場という離れた空間に子どもだけを残すのは心配ですよね。

この間取りでは、扉を開け放すとキッチンからお風呂の中を見通すことができます。
親だけ先に出て子どもの様子を見ながら残りの家事を・・ということが可能なのです。

設計時にはここまで想像はできていなかったのですが、 日々時間に追われている主婦にとって想像以上に助かる間取りでした。

回遊性のある間取り

「回遊性が大事」とは聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
行き止まりがない間取りのため、人の渋滞がおこらず、家事がしやすくなります。

我が家ではキッチン周りとベッドスペース廻りをぐるぐると回ることができます。
特にキッチン廻りに回遊性を持たせるのはおすすめ。

キッチンで誰かかが作業していても、キッチンを通過せずに洗面所やお風呂に行くことができます。
冷蔵庫からものを取り出す際も2方向から、アクセスできるため他の家族とぶつかる機会が減ります。

回遊性のある間取りがもたらす、子育て中のメリット

これはなんといっても「家中ぐるぐる回れること」。
こどもにとって、行き止まりがないことはとても楽しいことのようです。

かくれんぼや鬼ごっこをするのにもうってつけ。
見つかりそうになったら、つかまりそうになったら、 もう一方の出口からさっと逃げていく様子をよく目撃します。

子どもにとっては、家自体の広さよりも、行き止まりがないことの方が重要なのかもしれませんね。

「その先」に対応できるフレキシブルな間取り

最初は夫婦二人。
途中で子どもが生まれ、こどもたちが成長したら個室を与え・・
やがて子どもは家を出て、また夫婦二人に戻る。
同じ家に住むとしても、家族の形やライフスタイルは変化していきますね。

その変化に対応できる「フレキシブルさ」を意識してみてください。

例えば、子ども部屋の考え方。

子どもが小さい頃は、セカンドリビングや家族みんなの寝室として利用、 子どもに個室が必要になった時点で、小さく間仕切るなどのアイディアです。
使わない個室ほど勿体ないものはありません。

家族の形やライフスタイルが変わることを見越して、間取りを考えておけば、 どの段階でも暮らしやすい大好きな我が家になることでしょう。




ここで我が家のフレキシブルな間取りについて紹介します。
我が家はワンルームですが、床の仕上げや腰壁・カーテンなどの組み合わせにより緩やかに複数のスペースにわかれています。

それぞれのスペースの用途を決めているわけではないので、 家族の人数や暮らし方の変化に合わせて少しずつアレンジするのも簡単です。

北側のオレンジ色のスペースは、入居当初「ワークスペース」として自宅で仕事する際のデスクがおいてありましたが、 現在は家具を置いて収納量アップ。玄関と仕切られた子どもたちの隠れ家のようにしてあります。

使い方を限定しないスペースがあると、環境の変化に対応しやすく便利でおすすめです。

究極のフレキシブルな間取り?

我が家では子ども部屋はまだなくてもよさそうですし、 子ども本人も今のところは家族と同じ空間で過ごすことを求めているようなので、 もうしばらくは個室を作らず、広いワンルーム空間を楽しむ予定です。

もしかしたら数年後、今の家の中どこかに子ども部屋をつくっているかもしれませんし 手狭になってきたので同じマンション内でもう一部屋リノベーションして そこに個室を作るのも面白そうだなと考えています。

いずれまた夫婦二人だけになるのだから、 必要な期間だけ家を拡張してみようかというアイディアです。
不要になったら、売却したり、賃貸に出したりすることもできます。

家を増やしたり減らしたり。
これもフレキシブルな間取りの一つかもしれません。

まとめ

暮らしやすい間取りを見つけるヒント…

① 水を使う家事をまとめた短い家事動線
② 大人も子どもも嬉しい回遊性
③ 家族の変化に対応できるフレキシブルさ

これらのヒントを参考にご家族にぴったり間取りを見つけてみてください。

一級建築士/ライフオーガナイザー
kiko

一級建築士・ライフオーガナイザーの視点から
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